はじめに

相続が発生したとき、多くの方が直面するのが「相続税」です。
相続税は財産を相続する際に発生する税金ですが、正しい知識を持っていないと、必要以上に税負担が大きくなってしまうことがあります。
本記事では、相続税の基礎知識から、実際に取り組める節税対策までをわかりやすく解説します。

相続税とは？

相続税とは、被相続人（亡くなった方）の財産を相続人が受け継ぐときに課される税金です。
現金や預貯金だけでなく、不動産、株式、貴金属なども対象となります。

相続税がかかるかどうかの判断基準

相続税はすべての相続に課されるわけではありません。
基礎控除額を超えた場合にのみ発生します。

基礎控除の計算式

3,000万円 ＋ (600万円 × 法定相続人の数)
 

例えば、相続人が3人の場合：
3,000万円 ＋ (600万円 × 3人) = 4,800万円 が基礎控除額。
遺産総額が4,800万円以下であれば、相続税はかかりません。

相続税の課税対象となる財産

相続税の対象には、以下のものがあります。

• プラスの財産：預金、不動産、株式、貴金属など

• マイナスの財産：借金や未払いの税金も差し引き可能

• みなし財産：生命保険金や退職金の一部

特に「みなし財産」は見落としやすく、税額計算に影響するため注意が必要です。

相続税の節税対策

相続税は工夫次第で大幅に軽減できる場合があります。代表的な節税対策を見ていきましょう。

1. 生前贈与を活用する

年間110万円までの贈与は「基礎控除」で非課税となります。
また、教育資金や住宅取得資金の一括贈与制度を利用すれば、一定額まで非課税で資産移転が可能です。

2. 配偶者控除を利用する

配偶者が相続する場合は、1億6,000万円までまたは法定相続分のいずれか多い金額が非課税となります。
配偶者に財産を多く残すことで、相続税の負担を大幅に減らせます。

3. 不動産の評価減を活用する

現金よりも不動産で相続した方が評価額が下がるケースがあります。
例えば「小規模宅地等の特例」を使うと、自宅の土地は最大80％の評価減が可能です。
これにより課税対象額を大幅に圧縮できます。

4. 生命保険を活用する

生命保険の「非課税枠」は 500万円 × 法定相続人の数。
現金をそのまま残すよりも、生命保険を利用することで非課税枠を活かせます。

5. 家族信託の活用

近年注目されているのが「家族信託」です。
財産管理や承継を柔軟に設計でき、相続税対策だけでなく、認知症対策としても有効です。

節税対策の注意点

節税ばかりに気を取られると、かえってトラブルを招くことがあります。

• 生前贈与を行う際は「贈与契約書」を作成する

• 税務署に不自然と思われるような資産移転は避ける

• 節税効果だけでなく、家族の公平感も考慮する

専門家（税理士・司法書士・行政書士など）に相談しながら、バランスの取れた対策を進めることが大切です。

まとめ

相続税は、基礎控除や各種の特例を活用することで大きく軽減できます。

• 基礎控除を理解し、課税対象かどうかを確認

• 生前贈与や配偶者控除、不動産の評価減を活用

• 専門家のサポートを受け、家族の希望に沿った節税対策を実行

早めに準備を始めることが、相続税対策の最大のポイントです。